温水洗浄便座(※ウォシュレットはTOTOの商品名)は、日本の一般家庭での普及率は80%以上と、生活必需品としてなくてはならない存在となりました。
しかし、海外での普及率はアメリカで10%未満(2020年時点)、中国ではわずか5%未満(2019時点)、と言われており、先駆者でもあるTOTOが30年以上前に海外での販売を開始しているにも関わらず、未だ一般家庭には普及していません。
近年のグローバル化した社会において、なぜこのような素晴らしい製品が日本以外の国で普及しないのか?
東南アジア諸国において色々と調査した結果、下記のような様々な原因が重なり普及の妨げとなっていることが分かりました。
理由① トイレに電源がない
日本のメーカー(TOTO・LIXIL・パナソニック・東芝 など)が製造している温水洗浄便座には必ず電源が必要です。
しかし、海外ではトイレに電源がない国が多くを占め、日本と比較すると使用できる場所が圧倒的に少ない点が最大の要因だと考えられます。
また、国によって電圧が異なること、電気の供給も不安定な点であることも影響していると思われます。
理由② 硬水地域で利用すると壊れやすい
電源を必要とする温水洗浄便座は、モーターを活用し水を排出しています。
日本の水は軟水ですが、海外は硬水地域がとても多く、東南アジア諸国のような硬水地域で電源式タイプを利用すると、モーター部分に石灰や小石が詰まり2〜3年で故障してしまうという事例が多くあるようです。
世界の水道水の硬度・平均値(100mg~が硬水) | ||
日本 | 50~60mg | 軟水 |
タイ | 120mg以上 | 硬水 |
ヨーロッパ | 200~400mg | 硬水 |
アメリカ都市部 | 30〜120mg | 軟水&硬水 |
インド・ニューデリー | 140mg | 硬水 |
オーストラリア・ブリスベン | 140mg | 硬水 |
中国・北京 | 360mg | 硬水 |
理由③不衛生なトイレ環境が多い
東南アジア諸国では、トイレマナーなどの衛生教育が不十分な地域も多く、男性は便座を上げずに用を足したりするなど、未だ多くの不衛生なトイレ環境となっています。
現地の住民にアンケートを取った結果、不特定多数の人が利用するトイレでは、毎回ハンドシャワーでトイレ全体を洗わなければ汚くそのまま利用出来ない場合も多いとのこと。
そのため、漏電の危険のある電源式洗浄便座を導入できないという意見も多く見受けられました。
ハンドシャワーとは…東南アジア諸国のトイレには洗浄便座(ウォシュレット)がないため、その代わりとなるものが「ハンドシャワー」や「ウォーターガン」と呼ばれるお尻を洗浄するシャワーです。不衛生なトイレでは、便座自体を洗い流したりすることがあります。
上記の理由以外にも下記の事情があげられます。
東南アジア諸国での温水洗浄便座の販売価格は、日本の大手メーカーの製品で4万円~6万円程と現地では高額な商品であり、公共施設や商業施設に導入すると盗難されてしまう事例もあります。
高価で壊れやすい、という点も普及の障壁になっていると考えられます。
また、東南アジアのような年中温暖な気候である地域では暖房便座・温水機能はあまり必要がなく、利用者にとってはハンドシャワーが使えなくなってしまうデメリットの方が大きいため、温水洗浄便座の必要性を感じられない点が大きく関係しているのだと思います。
まとめ
これらのような理由から発売から30年以上たった現在でも、温水洗浄便座は海外であまり普及しておらず、使用したこともない人がまだ多くいることがわかりました。
日本に住んでいると大抵は綺麗なトイレを利用できますが、海外の多くの地域ではそれが当たり前ではありません。
海外旅行で現地に訪れると、日本の衛生環境の良さを改めて実感する人は大勢いることと思います。
実は、ハンドシャワーを利用している地域でも洗浄便座を利用すれば、お尻を洗う際の床や便座への飛沫が圧倒的に減ることでキレイな環境が保たれ、トイレ全体を洗う回数も軽減していきます。
結果的には、水やトイレットペーパーの使用量が減り、衛生環境のみならず環境問題の改善にも繋がります。
このように洗浄便座は心地良いだけではなく、環境問題も改善できる日本が誇る素晴らしい商品なのです。
しかし、海外に在住している日本人の方々の中には、電源が無く洗浄便座が使えずに困っている人も多々いらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方こそ必見!!
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電気がなくても使える水圧式洗浄便座をご存知でしょうか!?
次の記事では、上記の問題を解決する、
海外でも使える水圧式洗浄便座『Kirei』
についてご説明していきたいと思います。
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